京急第一四半期決算資料を読んでみる

 

写真:横須賀の公共交通の最大の担い手である京急、新型コロナの影響は?

鉄道大手18社、全社が最終赤字 4~6月期@日経新聞8/12

 2020年4~6月期の決算は京急をはじめ各地の鉄道が大きな新型コロナの影響を受け大手18社全社が赤字と言うある種の惨状を呈しました。ここでは横須賀の公共交通の大きな担い手である京急の決算を京急と同じく横浜に乗り入れる東急電鉄(以下東急)、相模鉄道(以下相鉄)と比較しながら見ていきます。

※尚ここで書かれていることはあくまで筆者の個人的見解です。ご注意ください。

1、横浜乗り入れ3社で最大の落ち込みを見せる京急~営業収益比較~

写真:京急と同じく横浜に乗り入れる私鉄東急、写真の目黒線は横浜駅に乗り入れませんが…
表1:横浜駅乗り入れ大手民鉄3社の20213月期第一四半期(以下第一四半期)営業収益(単位百万円、決算短信より作成、東急相鉄も同様資料より作成、※:親会社株主に帰属する四半期純利益)

 さてまず基本的な部分である営業収益や各種損益から見ていきましょう。京急の第一四半期の営業収益は46062百万円、営業利益は10933百万円、経常利益は11549百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は9115百万円の損失となっています。営業収益は実に47.5%減少と半減近く新型コロナの影響の大きさが見て取れます。
 相鉄・東急との比較でも東急・相鉄が営業収益の減少が東急・相鉄20%代なのに対し50%弱とコロナの影響は他の私鉄に比べても大きい事が見て取れます。

 纏めると
・京急の第1四半期営業収益は47.5%減収と東急・相鉄に比べてコロナの影響による減収が倍以上となっている

2、京急の成長を支えた空港・新幹線アクセスが逆風に~月次営業成績を見る~

写真:横須賀・横浜からの空港アクセス列車と言えば…エアポート休校羽田空港行き@日ノ出町駅
表2-1:京急・東急・相鉄3社の定期の輸送人員・旅客収入増減率(各社月次営業成績のお知らせより作成)

 何故京急は他の鉄道会社に比べてコロナの影響が大きかったのでしょうか?各社の月次営業成績から見ていきましょう。
 まず定期の乗客について見ていきましょう。第1四半期の定期の旅客収入の減少は28.3%、これは相鉄の25%減少よりは大きいものの東急の33%減少よりも小さく、こと定期に関しては京急への影響はそこまで大きくないと言えます。
 全体的な推移としては、4月7日に出て5月25日に解除された非常事態宣言の影響から4月32.2%5月37.2%との落ち込みが最も大きかった事、緊急事態宣言が解除された6月以降は7月22.9%、8月21%と順調に回復しているのがわかります。

表2‐2:月次営業状況のお知らせ(鉄道)@東急より

 3社の中で東急の定期の利用者の減少が大きかった理由は通学定期客が80.7%減少と激減したことにあります。
 東急の沿線には東急自身が運営に関わっている東京都市大をはじめ、慶應義塾、東京工業大学など大学が多く、その多くがリモート授業により通学需要が消滅する度合いが大きかったことが挙げられます。
 逆に言えば京急や相鉄に関しては大学の少なさによって定期の収入減が大きくならずに済んだと言えます。

表2-3:京急・東急・相鉄3社の定期外の輸送人員・旅客収入増減率(各社月次営業成績のお知らせより作成)

 続いて切符を買って乗る定期外の状況を見ていきましょう。
 京急の第1四半期の減収は63.3%減少、東急の56.7%、相鉄の52.5%より大きく、また7月・8月の回復状況も43.7%減少→46.2%減少と足踏みが続き8月段階で減少幅を30%以内に回復させた東急・相鉄との差が開いていることが見て取れます。

 JR東海は29日、5月1~28日の東海道新幹線の利用者数が前年同期比で91%減少したと発表した。新型コロナの流行を受けた大型連休中の旅行の取りやめや、出張の自粛などで大幅に落ち込んだ。6月1日から定期ダイヤに戻すが、需要の回復には一定の時間がかかるとみている。

5月の東海道新幹線、91%減 利用者、旅行や出張手控え@共同通信2020/5/29

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う海外渡航制限の強化や、国内における移動自粛を受け、2020年4月~6月の旅客数は国内線で前年同期比88%も減少。国際線は同96%も落ち込み、売上高の7割弱を占める旅客事業の需要が蒸発した。

ANA、1590億円赤字で崩れる「脱コロナ」シナリオ 旅客需要が蒸発、資金繰り確保を優先だが…@東洋経済2020/8/2

 その理由として大きいのは羽田空港アクセスの存在が挙げられます。
 輸送人員ベースしか分からないですが、それでも第1四半期69.8%減少、7月56.1%減少、8月59.6%減少と京急全体の減少幅より大きく、かつ回復も緩やかで、もともと追加運賃もあり顧客単価が高い為、その影響が全体に波及していることが見て取れます。
 京急は航空のターミナル羽田空港と新幹線のターミナルである品川駅に乗り入れているのが強みだったわけですが、withコロナの時代において移動自粛により、長距離の移動が激減した影響をもろにかぶってしまったというのが大きいと言えます。
 言うなれば京急の運輸減収が大きくなり、回復ペースも緩やかな大きな理由は平時のドル箱だった空港・新幹線アクセスが移動自粛により激減したからと言えます。

・3社共通の状況としては通勤・通学の定期客の減少は定期外よりも緩やか
・定期客に関しては東急・相鉄に比べてちょうど中間である京急の減少が激しかったわけではない
・定期外客に関しては京急は東急・相鉄より影響が大きく、回復傾向が緩やか
・その理由としては平時のドル箱だった羽田空港に代表される空港・新幹線アクセスの影響が大きい

 

3、交通事業への集中度合が明暗を分けた~セグメント収益比較~

写真:鉄道会社の華、ターミナル駅ビル@Wing久里浜
表3-1:京急第一四半期セグメントごと収益(単位百万円、2021年3⽉期第1四半期 決算補⾜説明資料より作成、単位百万円、※:損益計算書計上額)

 続いて京急のセグメントごとの収益で見ていきましょう。
 京急のような大手私鉄は鉄道やバスなどの交通事業だけでなく、写真のwing久里浜や京急ストアの様な流通事業や、野比の京急ニュータウンなどに代表される住宅、YRP等の都市開発などの不動産事業など所謂副業と呼ばれる交通以外の事業の収益の存在も大きいのが特徴です。

交通事業

鉄道事業およびバス事業では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出の自粛等の影響を受け、輸送人員が大幅に減少したことなどにより減収となりました。

以上の結果、営業収益は161億6百万円(前年同期比49.0%減)、営業損失は89億2千万円(前年同期は営業利益52億2千2百万円)となりました。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より


 メインの鉄道・バスなどの交通事業は外出自粛の影響が大きく、全体の減収より大きい49%もの減収となっています。
 最も減収幅が大きかったのはタクシーで56.6%減収、そして鉄道48.8%、バス48.7%減収と各交通モードまんべんなく減収しているのが特徴です。
 その結果89.2億円と全体の8割を占める営業損失を計上しています。

不動産事業

不動産販売業では、前期の大型分譲マンション引渡しの反動などにより減収となりました。

不動産賃貸業では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う店舗休業等の影響を受け、賃料収入が減少したことなどにより減収となりました。

以上の結果、営業収益は70億9千9百万円(前年同期比67.6%減)、営業利益は4億4千9百万円(前年同期比85.6%減)となりました。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より

 そのほかの事業セグメントを見ますと不動産事業はもともと大型マンション引き渡しが前期にあった反動で、不動産販売が85.1%もの減収となりました。
 賃貸に関してもSCテナントの休業による減収が響いて11.8%減収で収益全体では大幅減収となりました。ただし大幅減益ながら4.5億円の営業利益を計上しています。

レジャー・サービス事業

ビジネスホテル業では、京急EXホテル・京急EXインは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う宿泊客の減少により減収となりました。

レジャー関連施設業では、京急開発㈱は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う休業要請を受け、一部施設において臨時休業したことなどにより減収となりました。

以上の結果、営業収益は36億2千5百万円(前年同期比60.7%減)、営業損失は19億4千9百万円(前年同期は営業利益17億5千3百万円)となりました。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より

 続いてレジャー・サービス事業に関しては、交通事業より大きな減収かつ営業損失を計上しました。
 特にビジネスホテルである、京急EXホテル・京急EXインは第一四半期88.1%もの減収となっており、影響の深刻さがうかがえます。
 マリンパーク、京急ホテルなどレジャー関連施設の減収幅も57%と大きく外出自粛の影響が交通事業以上にもろに出たセグメントと言えます。
 そしてその結果交通事業に次ぐ19.5億円の営業損失を計上しています。

流通事業

百貨店業では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う臨時休業および営業時間短縮の影響を受け、客数が減少したことなどにより減収となりました。

コンビニエンスストア・物品販売業では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う鉄道の輸送人員の減少、臨時休業および営業時間短縮の影響を受け、駅ナカ店舗を中心に客数が減少したことなどにより減収となりました。

以上の結果、営業収益は193億5千2百万円(前年同期比22.6%減)、営業損失は4億8百万円(前年同期は営業利益7億1百万円)となりました。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より

 元YOKOSANを含む京急ストアでおなじみの流通事業に関しては収益では22.6%減収と交通事業より浅いとは言え、影響が出ました。
 京急ストアなどのスーパーマーケットは3.0%減収と影響が軽微だったのに対し、京急百貨店・Wingに代表される百貨店・SCは42.4%減収、エキナカを中心とした物販・コンビニに関しては44.3%減収となりました。
 原因としては百貨店は外出自粛の影響、物販に関しては駅利用者減少の影響が大きいと思われます。
 その結果4.8億円の営業損失を計上しています。

その他

京急建設㈱は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う工期の見直しおよび一時中断などにより減収となりました。

以上の結果、営業収益は73億2千5百万円(前年同期比18.4%減)、営業利益は2千4百万円(前年同期比77.1%減)となりました。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より

 京急建設を中心としたその他の事業に関しては工期見直しや工事中断とした影響を受けています。その為18.4%減収となりました。
 しかしその中でも前年比77.1%と激減ながら2400万円の営業利益を計上しています。

以上の結果、営業収益は460億6千2百万円(前年同期比47.5%減)、営業損失は109億3千3百万円(前年同期は営業利益109億2百万円)、経常損失は115億4千9百万円(前年同期は経常利益104億7百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は91億1千5百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益70億3千2百万円)となりました。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より

 こうした各セグメントの状況が積み重なり、結果的に対前年47.5%減収、109.3億円の営業損失に繋がりました。
 全体的な傾向としては、鉄道バス等の交通事業セグメントが営業損失の8割を占め、減収幅も大きい事を考えると交通事業以外の所謂副業と呼ばれるビジネスが交通事業・観光レジャー事業のショックを緩和したと言えるのではないでしょうか?

表3-2:京急・東急・相鉄の第一四半期交通・運輸セグメント収益比較(単位百万円、2021年3⽉期第1四半期 決算補⾜説明資料より作成、単位百万円、東急相鉄も同様資料より作成、シェアは営業収益における※:損益計算書計上額)

 そしてその前提で東急・相鉄と比較してみます。
 京急の営業収益における交通事業セグメントのシェアは34.97%、東急・相鉄の同様のセグメントのシェアがそれぞれ14.3%、11.57%なので2~3倍と大きい事が見て取れます。

東急株式会社(以下、東急)の子会社であるBECAMEX TOKYU CO.,LTD.(以下、ベカメックス東急)と、NTT都市開発株式会社(以下、NTT都市開発)は、ベトナム社会主義共和国・ビンズン省の省都ビンズン新都市において合弁会社「H9BC INVESTMENT COMPANY LIMITED」を2020年7月に設立し、分譲マンションMIDORIPARK The GLORY(ミドリパーク ザ・グローリー)」(以下、本物件)に2020年12月から着工します。

ベトナム・ビンズン新都市において、東急とNTT都市開発が合弁会社を設立し、12月から分譲マンション「MIDORI PARK The GLORY」に着工します@東急ニュースリリース2020/10/7より

相鉄グループの㈱相鉄ホテルマネジメント(本社・横浜市西区、社長・吉田修)では、2019年7月25日(木)に、相鉄グループの宿泊特化型直営ホテルとしては大阪市内で4店舗目となる「相鉄フレッサイン 大阪なんば駅前」(大阪府大阪市)を開業します。

「相鉄フレッサイン 大阪なんば駅前」を開業@相鉄プレスリリース2019/5/8

 実際東急や相鉄は地元以外、極端に言えばベトナムなどの海外でも積極的なビジネスを展開しており、今回の新型コロナの環境においてその鉄道・地元の外でのビジネスの厚みが影響を緩和したと言えそうです。
 逆に言えば京急は副業の厚みが薄く、鉄道・バスなどの交通事業の影響がダイレクトの業績に反映され、かつ今回の自粛で影響の大きかった航空や新幹線に繋がる羽田空港・品川と言う平時のドル箱の存在が逆に傷口を広げてしまったと言えます。

・今回の新型コロナの影響は鉄道・バス等交通事業に対しては大きなものとなった
・その為、不動産・流通などの所謂副業の存在が影響を緩和する効果を持った
・京急が東急・相鉄に比べて新型コロナの影響が大きかった理由はこの副業の厚みが薄かったからと言う面が大きい

4、財政状態~過去の貯金と未来への備え~

写真:これも京急の資産、EXホテル@YRP
表4-1:横浜駅乗り入れ大手民鉄3社の20213月期第一四半期(以下第一四半期)総資産・自己資本比率(単位百万円、決算短信より作成、東急相鉄も同様資料より作成、)

 続いて財務について見ていきましょう。まず自己資本比率に関して、京急の第1四半期段階での自己資本比率は28.1%、東急の29.1%よりは少し小さいものの、相鉄の22.6%よりは大きく3社の中では健全と言ってよい状況にあります。総資産に関しては2020年3月比218.1億円、2.5%の増加となっています。

当第1四半期連結会計期間末の総資産は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を踏まえ、流動性資金確保のための借入等に伴う現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ218億1千4百万円増加しました。

負債は、支払手形及び買掛金の減少はありましたが、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末と比べ330億6千4百万円増加しました。

また、純資産は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上などにより、前連結会計年度末と比べ112億4千9百万円減少しました。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より

 新型コロナと言う減収が見込まれる環境下での総資産の増加は支払利息や減価償却費と言う固定費の増加につながるため好ましい事ではないです。
 ただ理由としては「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を踏まえ、流動性資金確保のための借入等に伴う現金及び預金の増加」が挙げられていて、これは今回の新型コロナの影響による急激な減収と言うある種の非常事態と言う前提では適切な対処と言えます。
 更に他社との比較を見ますと東急が1.2%減少、相鉄が5.2%と対照的な状況にあり、その中間で相対的にはそこまでひどくないと言えそうです。

表4-2:横浜駅乗り入れ大手民鉄3社の20213月期第一四半期(以下第一四半期)流動資産・現金・預金(単位百万円、決算短信より作成、東急相鉄も同様資料より作成、)

 そして京急の総資産を増やす要因となった現・預金を見ると共に総資産の増加218.1億円よりも大きな240.4億円の増加の595.9億円となっていることが見て取れます。
 2020年度の年間の営業収益3127.5億円の19%、昨年の同時期だと11.4%程度ですので営業収益1月分余裕を持たせた感じです。
 東急・相鉄との比較でみると相鉄662.2億円、25.0%よりはやや低いものの、東急550.7億円、4.7%よりも大きく十分な水準にあると考えられます。
 流動資産は1250.97億円、40%、こちらは相鉄1084.7億円、40.9%とほぼ同水準、東急3133.9億円、26.9%よりも大きく、言うなれば不確定要素の多いコロナ時代に対応するために現金・預金を増やしたと言え、これはこれで健全なことと考えられます。

 京急の
・自己資本比率は28.1%で東急にやや劣るが相鉄を大きく上回る
・総資産は現金などの流動性確保のため2.5%増加、東急の減少に対し増加、相鉄より増加率は低い
・現金・預金・流動資産に関しては2020年度の営業収益比で考えると相鉄よりもやや低いか同水準、東急より大きい
 まとめると
・京急は横浜駅乗り入れ3社の中でずば抜けてよいわけではないが自己資本比率、現預金・流動資産の確保状況は良い部類で短期~中期的に財政的に危機的な状況に陥るとは考えづらい

5、Afterコロナでも戻ってこない利用者~今後の見通し~

グラフ:コロナ前の6割程度の戻り、品川駅の朝夕ラッシュ時の乗客の戻り具合(9/28)新型コロナウイルスの感染予防に関する取り組みについてより

(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

なお、依然として新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しは立たず、先行き不透明な状況が続くことが予想されますが、同感染症の影響を2022年3月期第2四半期までと仮定し、業績予想を算定しております。また、上記見通しは、新型コロナウイルス感染症の収束時期等により、変動する可能性があります。

2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)より

 今後の見通しの関して京急の決算短信を読むと現段階では2022年度第2四半期、言い換えれば2021年来年の9月まで影響が及ぶと予想しています。

Q6.鉄道の輸送⼈員について,回復度合いをどのように想定しているか︖

・当社としては,2021 年9月末に向けて日本の経済活動が平常時に戻ると想定しているが,その時点においても輸送人員は 100%には回復しないと想定している。

・2021 年3月時点で当初予定から 10%減としているが,それでも経営に大きな影響があり,第2波等の感染拡大で状況は悪化する可能性がある。

2021 年3⽉期 第1四半期決算に関する電話会議 主な質問と回答より

 また株主との質疑応答ではその段階でも輸送人員はコロナ前に戻らない事、2021年3月段階で当初予定より10%減少である事、第2波など感染状況次第では現在の予測よりも悪い状況も予測されているとの事です。

Q1.羽田エリアの基盤整備について,短期的には,国内線・国際線の航空旅客数の戻り方などをどのように考えているか?長期的には,航空旅客数の回復に時間はかかるものの羽田空港の重要性は変わらないと考えているか︖

・短期的では,国際線は現状ゼロに近い状況であり,回復には3年程度は要するのではないかと考えている。国内線は夏には回復すると考えていたが,足元のコロナ感染の再拡大の状況をみると,もう少し回復に時間がかかるのではと考えている。よって,当社線全線のなかでは,空港線の輸送人員の戻りが遅くなると考えている。

・中長期的では,足元のインバウンドはゼロに近いが,今後も日本が観光立国を目指すなかで羽田空港の果たす役割は大きい。競合路線の参入計画もあるが,現時点からアクセス拡充等に取り組むことで優位な地位を確立できると考えている。

2021 年3⽉期 第1四半期決算に関する電話会議 主な質問と回答より

 またコロナ前のドル箱路線である空港線に関しては特に国際線の回復に3年近くかかるなど、他の路線に比べて輸送人員の戻りの遅さを予測しています。ただし羽田空港の役割の大きさから回復そのものに関しては揺らがないと言うのが見たての様です。

Q7.下振れリスクもあるなかで,品川・羽田エリアに大規模投資を継続することは両立可能なのか?

・ 少なくとも品川開発が完成する頃には,ワクチンの普及等によって,感染がないアフターコロナの世界になっているだろう。現状の(鉄道輸送人員の)水準のままで推移するようなことはないと考えている。将来的に品川・羽田エリアが日本の経済を牽引することになる点について不安はない。

2021 年3⽉期 第1四半期決算に関する電話会議 主な質問と回答より

 その上で、現状行っている品川・羽田地区の大規模投資に関してはリニア開業を控え、JR新駅との相乗効果も期待できる品川地区・国際線乗り入れが増加し、機能が高まる羽田空港に関して「日本の経済をけん引する」とまで言う言葉でその将来性への不安を払しょくし、開発の継続を肯定する形としています。

参考:プレスリリースから品川・羽田関連のニュース
複合施設「SHINAGAWA 1930」2020年冬オープン
ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジが「AND ON SHINAGAWA」を拠点としたオープンイノベーション活動への取り組みを開始
羽 田イノベーションシティ(2020 年開業エリア) 9 月 18 日(金)より本格稼働
9月19日(土)から「たべる!あそべる!イノべーる!GO!SKY AREA」キャンペーン
HANEDA INNOVATION CITY
AND ON

Q8.鉄道事業の収益性について,アフターコロナでは輸送人員が 100%まで回復しないと想定するなかで収益性を維持する仕組みはどう考えているのか?

・鉄道事業は固定費比率が高く,収益性は厳しい状況である。

・感染が収束する過程において,必要な事業構造の形が見えてくると考えている。もともと,想定される沿線人口の減少に立ち向かうためには,コスト構造を変えていく必要性があった。デジタル技術活用による効率化等の加速化がいっそう求められる。

・運賃政策についても,新しい時代に合った運賃の在り方なども含めて議論される必要があると考えている。

2021 年3⽉期 第1四半期決算に関する電話会議 主な質問と回答より

 そして利用が完全に戻らない前提における対策としては
・デジタル技術活用による効率化
・運賃の在り方を議論していく
 と言った回答をしています。

「東京デジタルパス」は、東京メトロ線と都営地下鉄線が利用できる磁気乗車券の「東京メトロ・都営地下鉄共通一日乗車券」または「Tokyo Subway Ticket」の有効期限を専用のスマートフォンアプリにより読み取り、デジタルチケットを表示することにより、東京さくらトラム(都電荒川線)をご利用いただけるものです。

デジタルチケット「東京デジタルパス」の技術検証を実施します!@東京都交通局

 デジタル技術活用による効率化に関しては具体的な言及はありませんが、1つの施策としては乗車券のスマホへの移行などはあるかもしれません。
 上は京急も直通がある東京都交通局の取り組み、1日乗車券をスマホで読み取り、表示することで都電荒川線が利用できるようになるという、ハイテクなのかローテクなのかわかりづらいシステムの技術検証です。
 これをそのまま導入するとは思えませんが、企画乗車券に関しては事前購入を増やすために今年スタートしたモバイルPASMOを利用したチケットの電子化は考えられます。
 また京急の場合、三浦半島1DAYチケットなどの企画乗車券が券売機で買える為、その案内を各駅員が行うのでなくインターホンで案内所で行う形で駅業務を減らすことなどは考えているように感じます。

参考:スマホアプリ及びPASMO関連プレスリリース
Apple Pay™の PASMO、本日開始。
モバイル PASMO サービススタート!
8 月 28 日から、お手持ちの PASMO カードがモバイル PASMO に移行できるようになります
鉄道12社局公式アプリ連携

 深沢氏は「(乗車率の)ピークをシフトするような柔軟な体系が考えられる」と説明。朝はピーク時の乗車率が下がるとともに、より早い時間帯へ利用がシフトしているという。ただ現行運賃の具体的な上げ下げには言及しなかった。

JR東、時間帯別運賃を検討 終電繰り上げも@共同通信2020/7/7

 新しい時代の運賃と言うとJR東日本の深沢社長が言い出した事で話題に上る事が多くなった時間帯別運賃がまず浮かびます。
 ただ他の大手私鉄でも同様の取り組みはありますが、京急ではコロナ以前にも指定席性の通勤ライナーウィング号の運行時間拡大や土・休日の快特における有料指定席車両ウィングシートなど、着席サービスによる顧客単価向上の努力は行われてきました。
 今年7月からはK-QUICKでのクレジットカード決済の外にも多少高くつくものの社内での現金購入も可能になりました。新しい時代に合った運賃はwingシートの延長にあるのか、それとも時間帯運賃導入になるのか注目されるところです。

参考:ウィングシート関連プレスリリース
2020年7月18日(土)から土休日の座席指定ウィング・シート 再開&リニューアル!ウィング・シート車内でも、座席指定券(Wing Ticket)が現金でご購入可能に!
KQuick

さて今後の見通しについてまとめると以下になります。

・新型コロナの影響は2021年9月まで続くと予想している
・アフターコロナの時代になってもコロナ前の利用者数までは戻らない
・羽田空港アクセスに関しては国際線関連は最大3年など利用者の戻りは遅くなる
・その上で品川・羽田への大規模投資に関してはこのエリアが日本経済をけん引するという見たての元継続する
・利用者の戻りきらないアフターコロナの時代においてはデジタル技術活用による効率化、新しい時代に合った運賃体系を考え対応していく

6、地域投資主体としての京急と地域~決算資料で書かれなかったことに関する考察その1~

写真:シーサイドラインの駅乗り入れで面目を一新した金沢八景駅,今年2月にwingキッチンも開業

これまで読んできた決算資料から言えることを大まかにまとめると以下になります。

・京急の営業収益は同じ横浜に乗り入れる東急・相鉄よりも大きい
・交通事業に関しては平時のドル箱だった羽田空港に代表される空港・新幹線アクセスの影響が大きい
・また副業の厚みが薄い為東急・相鉄よりも緩和の度合いが小さかったことの影響も大きい
・財務状況に関してはずば抜けているわけではないが自己資本比率、現金・預金の保有量共に悪くないと言える
・今後の見込みとしてはアフターコロナの時代においてビフォーコロナの利用者数に戻ることは無いと予測している
・ただし品川・羽田エリアは「日本経済をけん引する地域」であり大規模投資は継続する

 財務に関してはおいておくとして、その他を見ると少しおかしいように感じないでしょうか?京急の現状の苦境の原因は平時にドル箱だったとはいえ、羽田・品川の存在への依存度の高さであるのに、その品川・羽田への投資は相変わらず続けその改善は考えていない、決算に関する資料だけを読むとそのように見えます。

写真:横浜本社移転前に運行開始したOPEN TOP BUS

 しかし決算資料には書かれていないですが重要な事があります。品川、特に泉岳寺地区への投資の前提条件として京急本社が昨年9月に品川地区から横浜に移ったことです。

 そしてプレスリリースなどから2020年に入ってからの品川・羽田以外の地区の投資・施策を見ると以下の様なものが浮かび上がります。

2019.9~ 京急本社移転
2020.1  KEIKYU MUSIUMオープン
2020.2  ウィングキッチン金沢八景オープン
    三浦半島の最南端「油壺温泉」が誕生
2020.3  日ノ出町フードホールオープン
2020.8  横浜市役所内SC LUXS FRONTオープン
2020.10  三浦半島まるごときっぷ販売開始(三浦半島関連1日乗車券再編)
2020.10  観光型MaaS「三浦Cocoon」サービス開始

 さすがにwithコロナど真ん中である4~7月はそれほど動きが見られませんが、昨年の本社移転を機に積極的な投資を横浜市を中心に行っているように見えます。
 KEIKYU MUSIUMは本社移転、ウィングキッチンはシーサイドラインの金沢八景駅構内乗り入れ、LUXS FRONTは横浜市役所移転と必ずしも単独のプロジェクトと言うわけではないですが、地域の動きに合わせて積極的な投資を行い羽田・品川一極集中の解消を目指しているように見えます。
 そして横須賀・三浦半島でも企画切符の再編や観光型Maasのサービス開始など、その投資・施策の波が移ってきているように感じます。

写真:京急が大きくかかわったYRP,鉄道・バス事業者は単なる交通事業者と言うだけでなく地域の投資主体とも言える

 その上で横須賀・三浦半島の地域にに求められるのは横浜が行ったように地域への投資に京急を巻き込むことではないでしょうか?
 横浜にとって京急グループはJR東日本、横浜市交通局、東急、相鉄、神奈中バス等、交通分野における主要な社局の1つを占めるに存在にすぎません。
 一方横須賀・三浦半島にとっては横須賀線があるとはいえ、公共交通のほぼすべてを運営している存在です。
 そして2008年に横須賀を中心に展開していたスーパーYOKOSANを買収したり、野比地域の大規模ICT技術研究開発拠点であるYRPの開発に推進組織として大きくかかわり、また観音崎京急ホテルなどの観光に関する投資は古くから行われるなど、地域の投資主体として活躍してきたという事を忘れてはいけません。
 またわかりやすい開発投資、企業買収だけでなく三浦半島1DAY・2DAYきっぷ等の企画乗車券、観光型MaaS「三浦Cocoon」等自らの鉄道やバスの利用促進が目的とは言え、横須賀・三浦半島に多くの観光などのお客様を連れてくる為の試行錯誤も行ってきた企業です。コロナ前のどぶ板通りで京急の企画乗車券を片手にTSUNAMI等のネイビーバーガーの有名店に行列する人を見かけたという方も少なくないはずです。

 社会人になって以来職住近接を実践し、オフィスに歩いて行ける範囲に住み続けてきた小田理恵子氏が住み替えたのは、京浜急行本線久里浜駅から歩いて30分ほど、久里浜港の近くの分譲賃貸マンションだ。

 「通勤にかける時間も体力ももったいないとずっとオフィス近くに更新のたびに引っ越しながら住んできましたが、オンラインで仕事ができるのなら、一度は海の近くに住んでみようと5月10日くらいに思い立ち、6月4日には引っ越しました」~中略~

 横須賀市自体は三崎にまぐろを食べに行ったことがあるくらいで探し始めるまでは認識外のエリアだったそうだが、鎌倉を始めとする湘南エリアよりも家賃が安く、千葉よりも現在オフィスのある渋谷への通勤がラクという判断。久里浜は始発もあって便利な立地である。地方では車利用を生活の前提にしているが、都心からのワーケーション利用なら車なしで考えたほうがサステイナブルとの選択でもある。

通勤利便性最優先から一転、海辺の分譲賃貸へ@東洋経済2020/8/6より

 またwithコロナの時代においてテレワークの一定の普及もあってか、「郊外」とは名ばかりの人口密集地帯でなく、テレワークスペースの確保が容易な充実した住空間、海などの豊かな自然環境があり、公共交通に代表される都市生活インフラがそろい、かつ東京などの大都市都心への通勤も可能な本来の意味での郊外地域への移住と言う意味での関心も高まっています。

 そうした中で「本社のある横浜」「日本経済をけん引する地域である品川・羽田」と並ぶ京急における第3の柱として「名ばかりの人口密集地でない本来の意味での郊外生活を提供できる郊外都市としての横須賀・三浦半島」としての価値を高める為の投資を横須賀市を中心とした地域と京急で力を合わせて行っていくというのは意味のある事ではないでしょうか?

・決算関連書類だけを見ると京急の投資は品川・羽田に偏り現状の苦境の原因である品川・羽田への収益源集中の解消は考えていないように思える
・しかしプレスリリースを丹念に読み取ると昨年の本社の横浜移転を機にKEIKYU MUSIUM,WingKitchen、LUXS FRONT等横浜市で動いている他のプロジェクトに連携した形での積極的な投資が目立つ
・横須賀・三浦半島における京急はメインの公共交通機関であるだけでなく、YOKOSAN,YRP,観音崎京急ホテルなど地域への投資主体と言う側面を持つ存在であり、また企画乗車券などの地域の人を呼び込む試行錯誤を行ってきた存在である
・またwithコロナの時代においてテレワークが一定の普及をしてきたため、テレワーク用のスペースの確保が容易な「本来の意味での郊外」への移住への関心が高まっている
・その中で「名ばかりの人口密集地でない本来の意味での郊外生活を提供できる郊外都市としての横須賀・三浦半島」としての価値を高める為の投資を横須賀市を中心とした地域と京急で行っていくのは意味がある事ではないでしょうか?
 

7、地域公共交通機関としての苦境と高校空白地帯となった横須賀西部地区~決算資料で書かれなかったことに関する考察その2~

写真:厳しい状況に置かれている京急バス@YRP

2020.9.1
ダイヤ変更について【横浜地区】
ダイヤ変更について【横須賀・三浦地区】
ダイヤ変更について【鎌倉・逗子地区】

2020.9.16
東朝比奈循環(朝1・朝2系統)の実証運行一時休止について

2020.10.1
横浜駅(YCAT)・みなとみらい地区 ⇔ 横浜・八景島シーパラダイス線のダイヤ変更について
葉山線および横須賀西地区線の路線統合について
ダイヤ変更について【横須賀・三浦地区】
ダイヤ変更について【逗子地区】

2020.11.1
ダイヤ変更について

 そして同じく決算資料には書かれていませんが、忘れてはならないのはやはりこのコロナの負の波及効果とでもいう点、上は8月以降目立ってきた京急バス横須賀・横浜地区のダイヤ変更のプレスリリースの一覧です。
 詳細はリンク先を見て頂きたいですが、多くのダイヤ変更で「深夜バスの減回」、「運行回数の変更」、「系統の廃止」等、バスの状況の厳しさを伝える文言が現れます。

 県立高校の再編・統合により40年の歴史に幕を下ろす大楠高校。3月に迎える最後の卒業式を前に、現役生や卒業生から別れを惜しむ声があがっている。

大楠高校 40年の歩みに区切り@タウンニュース2020/2/28より

 「コロナの時代だし、3密を避けて自動車通勤するのが合理的」と言う考え方もできますが、学生のように免許がない、あるいはあっても自分専用の車を確保するのが難しい人たちにとってはどうでしょう。
 今年鉄道の便が悪い横須賀市西部唯一の高校である県立大楠高校が公立高校再編で久里浜地区の横須賀南高校に統合され、横須賀市西部から高校が全くなくなりました。
 この地域の高校生や大学生が学校に通うにはバスを使うしかありません。そういった意味でこの地域に住む高校生や、その親御さんにとってバス路線の「深夜バスの減回」、「運行回数の変更」、「系統の廃止」と言う言葉には不安を抱くのではないでしょうか?

表:通勤定期運賃表(横浜の一部と三浦半島全域の対キロ区間)(定期運賃表より)

 またそれらを抜きにして平時の状況においても経済的な負担と言う問題もあります。
 高校の無くなった横須賀西部には京急が造成した住宅地湘南佐島なぎさの丘があります。しかしこの場所からだと最も近い鉄道駅であるJR衣笠駅(衣笠十字路バス停)までは大人片道IC運賃367円、定期の運賃は通勤大人3か月47080円、年間188320円、通学大人3か月37020円、年間148080円と大きな負担になります。
 この地域の高校生、大学生の子供を持つ親御さんはバス代だけでも概ね年間15万円以上の負担を強いられることになります。

表:学割補助を行った北総鉄道の乗客数推移(北総鉄道2007年度上半期決算レポート@つれづれなるままに2008.5.19より)

 この状況を何とか改善できないでしょうか?バスでなく、鉄道ではありますが、考えるうえで、参考になる例があります。
 高い運賃で知られ、そして通学定期券の負担の重さから沿線の千葉ニュータウンでは「子供3人引っ越し準備」と言う言葉まで行きかった千葉県の第3セクター鉄道、北総鉄道では2005年から成田スカイアクセス線開業の2010年まで通学定期の割引率を拡大するために印西市・白井市等の沿線自治体が補助金を負担し、通学定期の割引率拡大を実現しています。※
 その直後である2005年度上半期の決算を見ると高校生世代の子供が激減している時期にもかかわらず、通学定期の利用者が5.8%と激増しました。これが意味するのは
・学生を持つ親御さんの高い交通費負担が軽減した事
・沿線の学生にとって遠方の高校を受ける抵抗感が薄くなったことで教育機会が拡大した事
・そして何より通学のための鉄道利用が増えたことで、鉄道会社の収益が改善した事
・駅の利用者が増えることで駅周辺の小売店舗等が活性化した(この施策が行われた2005年以降千葉ニュータウン地区には大型SCの進出・拡充が相次いでいる 千葉ニュータウン@wikipedia参照)
 これを横須賀西部に当てはめれば地域の人たちにとっては交通費負担の軽減、学生にとっては教育機会の拡大、該当地域にとってはバスの収益の改善により、交通に関しての不安軽減と言う利点に繋がり、また該当地域以外でもバスの乗り入れる主要駅ではコロナの影響で厳しい状況に置かれている小売業にとっても恵みの雨となると思われます。

新型コロナウイルス感染症拡大に対する学びの対策、「葉山の学びを止めないプロジェクト」の一環として、「葉山町特別通学支援給付金」を給付します。

町内に在住し、町外の学校に通う学生の通学定期券等の購入に係る費用の一部を補助します。給付額の上限は15,000円です。

葉山町特別通学支援給付金のお知らせ@葉山町より

 そして横須賀市のお隣の葉山町では年間最大15000円給付と小規模ながら町外の学校に進学する学生向けの給付金の形での通学定期券などに対する補助を開始しました。印西市・白井市・葉山町は横須賀に比べたら非常に小さい市町で、だからこそできたのかもしれませんが、それ故に横須賀のようなより大きな都市が追随し、公共交通の利用者、そして公共交通そのもの、そしてその周りにいる人たちを一挙両得で守れるような施策からスタートしてほしいです。

 纏めると
・バスのプレスリリースを見ると9月以降バスのダイヤ改正の情報が相次ぎ、その度に「系統廃止」「運行回数変更」等バスの厳しい状況を反映した文言が現れる
・今年唯一の高校である大楠高校が統廃合の影響で無くなり、高校の無い地域となった横須賀西部の学生にとってはバスに乗らないと通学できない状況となった。
・そしてそんな学生を抱える親御さんにとってはコロナ前でも年間で通学定期の負担が15万円以上と大きな負担となっている
・千葉県の北総鉄道沿線の千葉ニュータウンでは15年前通学定期への補助を実施し、通学定期代を負担する親御さんの負担軽減だけでなく、学生の教育機会拡大、公共交通運営企業の収益拡大など大きな波及効果を上げている
・横須賀市のお隣葉山町でも小規模ながらも通学定期券に対する補助を開始
・印西・白井・葉山の様な小さな自治体だけでなく横須賀のような大きな都市でも公共交通の利用者、そして公共交通そのもの、そしてその周りにいる人たちを一挙両得で守れるような施策をスタートしてほしい

8、1人の鉄オタ・バスオタもどきが守りたい光景~終わりに~

写真:市の中心を多くのバスが行きかう~守りたいこの光景~


 いかがだったでしょうか?久しぶりの決算レポートで分かりづらいものとなってしまったのが大変申し訳ないです。
 最後にも書きますが、あくまでこの記事は京急を始めとする各社の決算資料を見て一個人が書いた私見です。
 しかしそんな私見が横須賀をはじめとする地域の皆様が公共交通を考える上で少しでも参考になってくれたら、そして上の光景のように公共交通が元気に走り回る光景を守る事に少しでも貢献出来たら1人のオタクもどきとしてこの上ない幸せです。

主な参考資料

京急
京浜急行電鉄
京浜急行バス
2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
月次営業成績のお知らせ
2021年3⽉期第1四半期 決算補⾜説明資料
2021 年3⽉期 第1四半期決算に関する電話会議 主な質問と回答

東急
東急
2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
月次営業状況のお知らせ(鉄道)
2020年度 第1四半期決算概況資料

相鉄
相鉄グループ
2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
月次営業概況のお知らせ(鉄道)
2021年3月期第1四半期 決算説明資料

にほんブログ村 鉄道ブログ 関東の鉄道へ
にほんブログ村にほんブログ村 地域生活(街) 関東ブログ 横須賀情報へ
にほんブログ村









“京急第一四半期決算資料を読んでみる” への 48 件のフィードバック

コメントを残す